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その後は、すくすくと育ち、いつの問にかみんなの心のキズも癒えようとしていたのです。
ところが、一歳半になっても言葉の数が少ないので、大学の小児科へ行き診てもらいました。「身体の発育もよく、人の言うこともわかるようだし、二歳か三歳になれば、たくさんに言葉も出るでしょう」と言われました。
でも、二歳になっても言葉の方は今までと変わらず、七歳違いの娘の子供のころとは、ちょっと違うのです。では、保育所へ入れてお友だちをつくってやれば言葉も出るかなとの願いで、保育所へ入れました。
息子は普通の子と少しも変わらず活発で、いつもニコニコとして明るい子でした。
そして、三歳児検診のときに育児相談を受けました。そのとき、「脳にも身体にも障害はみられませんが、一度、耳の検査をしてください」と言われ、金沢大学病院へ紹介状を書いて頂きました。
大学病院では、「貴女のお子さんは高度難聴です。どうしてもっと早く気が付かなかったのですか。今からでは普通学校へはとても無理です」と言われ、目の前が真っ暗になりました。その後も何回か聴力検査を受けながら、言葉の勉強を始めました。
ろう学校へ相談に行きました。家族とも相談しました。そして、良くても悪くても二年間の約束でろう学校の近くにアパートを借りて、母子二人の生活が始まりました。
私は不安だらけでしたが、息子は私が仕事をしていて一緒にいることが少なかったので、大喜びでした。幼稚部へ通い、先生や同じ子供のお母さん方に出会い、わからないことをいろい

 

 

 

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